微笑みの国 ーバンコクー

ある重要な仕事のため、タイ・バンコクを訪れている沖田臥竜からの現地報告。
「微笑みの国」とも形容されるように、思わず微笑んでしまう(苦笑いも含め!)ような光景が、そこには広がっていたようだ。トリビア満載の取材メモ付き。
沖田臥竜 2024.05.17
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タイ・バンコク

タイ・バンコク

 時差があるとその分、1日を長く感じるのは私だけだろうか。飛行機で片道6時間半。日本とタイの時差は2時間で、日本よりもタイの方が2時間遅い。バンコクに到着したとき、2時間前にタイムスリップしたような気分になった。

 こんな言い方をすれば怒られるかもしれないが、医療目的として大麻が解禁された為なのか、日本と比較してタイの人たちは至極穏やかだ、ということだ。

 ググれば、現地のタイ人さえ危険な地域と出てくるスラム街の奥地にも、今回は許可を貰って行ってみたが、カメラを回していてもまず何か言ってくるような雰囲気がない。これが日本で唯一暴動が起きたひと昔前の西成だったら、そこにいる人たちは敵意剥き出しで、殺伐としたただならぬ雰囲気を醸し出しているだろう。

 ただ、さすがはスラム街である。スラム街の奥地に入る許可を得たと書いたが、何も政府や軍から特別な通行手形を発行してもらったわけではない。スラム街の入口で大麻茶で完全にきまっていた若者たちに、通訳のイチローが尋ねてくれたのだ。

 スラム街の若者たちは、スラム街の中に向かって大きな声で何か言ったあと、応えた。

 「本当は違法なことしかやってないから見られたくないけど、いいよ。でもカバンとか盗まれないように気をつけなよ〜」

 と言いながら、呑みかけの大麻茶をいっぱいやる?みたいな感じで進める仕草をしてきたが、それを愛想笑いで誤魔化し、盗まれないよう、カバンを握る手に力を入れた。

 ただ驚かされたのは、現地の人々は私たちを見ただけで、こちらが日本人だと分かるのである。すれ違う人々がカタコトの日本語で話しかけてきてくれるのだ。

「ハッハハハハ、分かりますよ〜。全然、違いますもん」

 イチローは逞しく焼けた顔に笑顔を浮かべたのだった。

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  • 道路を渡るのは命懸け

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