物書きという仕事

なにもないところから小説家を目指し、その目標を手に入れた男が振り返る、物書きという仕事、
小説家という生き方の真髄とは?  そして、過去の大作家たちを呪縛してきた見えざる力とは? 沖田臥竜流文豪論―。
沖田臥竜 2024.04.11
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 故人となった西村 賢太という人間の人生を見ていると、実に小説家らしいと言わざる得ない。

 文芸の編集者に言わしめたー自分の人生を賭けて要求を突きつけているー生き方。

 小説家らしく生きる、いわゆる文豪世代で考えると、彼が最後の人となるのではないだろうか。

 文豪というものは一体、誰が育ててしまうのか。私はそれを二つの賞だと考えている。論じるまでもなく、文学賞の最高峰、「直木賞」と「芥川賞」だ。

 下手にどちらかの賞を獲ってしまったばかりに、いくら編集者に言われても文体や作風を変えられなくなってしまう作家は少なくない。

 実際、それは当たり前なのである。文芸界の最高峰の賞を受賞しているのだ。誰に言ってんだ!となってしまうわけで、直木賞と芥川賞を獲ってしまって、更に作品に磨きがかかったという小説家を私は見たことがない。

 ヤクザ人生の末路とは哀れなものである。しかしながら、文豪として生きた小説家も社会に迎合できず、ある者は自ら死を選び、ある者は筆を折り、となかなかに哀れだ。私はそういう文豪として激しく生き、寂しい晩年を生きた小説家にどこか心が惹かれている。

 それは哀れみかもしれないし、はたまた自分には真似できない憧れなのかもしれない。

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